片原饅頭の起源は200年近く前までさかのぼります。1832年創業の「片原饅頭志満屋本店」が製造していた酒種まんじゅうが、初代の片原饅頭と呼ばれるものです。酒種まんじゅうは、イースト菌を使わず「米麹」という生きた菌を使って作るまんじゅうなので、些細な気温・湿度の変化にとても繊細に反応します。そのため、当時は米麹の容器に毛布などをかけるなどして温度管理をし、真夜中でも家族交代交代で米麹を管理をしていたそうです。そんな膨大な手間暇をかけて製造していた酒種まんじゅうは、味は絶品で、たくさんの方々に愛される前橋の名物となりましたが、一方、その過酷な製造工程などの理由により、事業承継が困難となり、1996年に、164年続いた歴史に幕を下ろすこととなります。

下りた幕が再び上がることになったのは2004年。前橋出身の元競輪選手である福島正幸さんが、志満屋の元職人頭の助けを借りて「ふくまんじゅう」という名前で酒種まんじゅうの製造・販売を開始。その後も研究を重ね、片原饅頭の復元が完了したとして、『片原饅頭復元』と銘打って販売を開始したのが2010年5月。これが片原饅頭史上、2度目の幕開けとなります。多くの方から前橋名物として愛されながらも、経営者の高齢化と後継者不在により、たくさんの惜しまれる声とともに2020年11月に2度目の幕を下ろすこととなります。

そして3度目の幕開けを担わせていただいたのが私たちです。事業譲渡により「片原饅頭」を受け継がせていただき、約1年8カ月の伝承および研究開発期間を経て、2023年10月に開業。片原饅頭史上、3度目のスタートです。

長い歴史と、多くのファンを抱える片原饅頭の歴史を、私たちがこの先、何十年、何百年続けられるかは分かりませんが、片原饅頭を愛してくださる多くのみなさまと共に、これから一歩一歩、着実に歩を進めていきたいと思います。

これからもひとつひとつの酒種まんじゅうを、丹精込めて御作りしてまいりますので、引き続き、片原饅頭を愛していただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。

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